大底から反転の兆し(2685 アダストリア)
大底からの初動の動き
能動的なラインの働き
2685 アダストリアが大底から反転する兆しを見せています。
下図は2016年6月頃からの日足チャートです。
個別銘柄にはそれぞれに動きの特徴があります。
このチャートを見て真っ先に判ることは、ラインのレンジが株価の動きを大きく左右しているという事象です。
以下、詳細に分析していきます。
株価はトレンドラインとその傾向線、あるいはチャネルラインをレジスタンス、サポートにしながら綺麗に動いています。
その株価の動きにラインからの逸脱はほぼありません。
これがこの銘柄の大きな特徴です。
このように株価がラインをレジスタンス、サポートにしながら動くことはよくあることで、決して珍しいことではありません。
しかし、過去2年間、さらにはそれ以上過去に遡っても同様の動きをしていることから、もはやこの動きは偶然ではなく能動的な売買によって必然的に作り出されたものと考えざるを得ません。
テクニカルトレードではこの動きを読み取り、次の動きを先取していきます。
トレンド転換後の動きと大底のサイン
株価は2016年6月の約4,000円をピークに下げ続け、現在は1,300円付近にあります。
これは、2014年の上場来最安値1,000円に迫る下落です。
ここから更に下落するかどうかは分かりませんが、ここ2か月の動きからようやく下げ止まり反転の兆しが出現してきました。
下図が直近半年を拡大したチャートになります。
2,400円付近から4か月近く株価は下降しています。
ラインAは3月16日高値を起点とし、4月5日の戻り高値を通過するラインです。
このラインを意識するように6月29日高値が当たっています。
これが下降トレンドラインです。
そして、7月中旬頃に株価はトレンドラインを上抜けて転換しました。
ラインBは下降トレンドラインと平行の下値傾向線で、3月と5月の安値はこのラインをサポートに下げ止まっています。
つまり、3月の高値と4月5日の戻り高値をつけた時点で、向こう3か月間の株価の上下レンジ(値幅の振幅)が決まったことになります。
そして、トレンド転換した株価は現在まで横ばいに保ち合いながら推移しています。
トレンドが転換をした場合、その後の株価は上昇、または横ばいのどちらかに動きます。
下降トレンドが転換したら、すぐに反転上昇すると考えがちですが、方向性の可能性としては横ばいに推移するという選択肢もありますから注意が必要です。
転換後、株価は緩やかに上昇し7月31日の戻り高値をつけてやや押したものの、7月3日の最安値を割り込むことなく再び浮上し現在に至っています。
この転換後の横ばいの動きに関して、いくつかの重要なポイントがあります。
まず、転換後7月末までに上昇した株価は、再度押し戻されましたが、その安値は7月最安値を割り込んでいません。
これにより、今現在は7月安値が大底、8月安値が二番底と考えることが出来ます。
もし、今後株価が7月安値を割り込むことがあれば、大底は否定され、再び大底を探る動きに転じることになり反転期待は消滅します。
次に、8月16日の二番底はなぜこの価格だったのか?
これは7月24日の下ヒゲをつけたろうそく足が安値をサポートレベルラインとして下げ止まったと考えられます。
別の角度からは一目均衡表の先行スパン1に支えられたという見方もできます。
いずれにしても、この銘柄がテクニカル指標に対して忠実に動く特徴とも言えます。
そして重要な観点として、
下降トレンドが転換した後に、「何故すぐに上昇しないで横ばいに推移する動きとなったのか?」。
理由は、トレンド転換した時の移動平均線の位置にあります。
トレンド転換した時点の25日移動平均線は、まだ下向き角度が大きい状態にあります。
75日移動平均線も同様に下を向いています。
さらに2本の移動平均線は収束後に発散して乖離したままで、まだまだ下降の勢いが強い状態にあります。
特に2本が平行状態にあるということは応当日的に75日間以上継続して下落し続けていることを意味します。
この状態では余程の強い買いが伴わない限り、反転上昇することは難しいです。
ではどうなれば良いのか?
移動平均線の下げ角度が緩やかになる、もしくは上向く状態まで日柄を待つ必要があります。
だから、株価は上がらずに横ばいに推移するのです。(正確には推移させられるのです)
株価が横ばいに推移すると日々同じような株価の日が続くので、25日間、75日間の株価平均値は均され、徐々に移動平均線は横向きに変化していきます。
余談的に付け加えると、実はこの期間に3月からの下落に耐えられなかった参加者は続々と損切をし、下げに耐えた参加者も横ばいで動きが無くなり上がる気配が無い株価に嫌気し撤退していきます。
そして、目先が利く参加者は、ここで売り物を買って仕込みをしているのです。
この株価が横ばいに推移している2か月間には、このような現象が起きているのです。
結果、売り圧力が低下し次の上昇を軽くします。(信用買い残が減少すれば尚良いです)
テクニカル的に揉み合う日柄調整にはこのような意味もあります。
反転の兆しとポジティブポイント
そして現状、株価が横ばいに推移したことで25日移動平均線は横ばいになり、75日移動平均線の下げ角度も横ばいに近いほど緩やかになりました。
25日移動平均線と75日移動平均線は接近して収束しています。
移動平均線が収束している状態は株価の煮詰まり感を示唆し、近く保ち合い放れの転機が訪れる前兆です。
先週と今週の株価の動きは、上に位置する75日移動平均線をレジスタンスに、下の位置する25日移動平均線をサポートにしながらの推移となっています。
「移動平均線分析の分位別株価」では、下から25日移動平均線、真ん中に株価、上に75日移動平均線が位置する状態を「底打ち」と定義します。
つまりトレンド転換後に株価が横ばい始めた7月中旬付近から「底打ち」サインが出始めたということになります。
次に、二番底が出来て安値が切り上がったことでラインCが引けます。
ラインCは安値が切り上がったラインです。
そして、7月戻り高値をレジスタンスレベルラインとするラインDが引けます。
この2本のラインはアセンディングトライアングル(上昇三角形)と呼ばれ、強気のフォメーションになります。
買い勢力が徐々に強くなっていることを示します。
更に、株価のボラティリティを示すボリンジャーバンドが収束しています。
これも株価の煮詰まり感の高まりを示しています。
本来、ボリンジャーバンドは保ち合い相場の逆張りに有効な指標ですが、収束している状態から発散が始まると強いトレンドが出るので積極的な順張りに使用します。
今の状態から発散が始まると株価は勢いをもって動くと予測されます。
(但し、ボリンジャーバンドだけでは上か下かの判別はつきません)
理想的なエントリーポイントは
結論から先に書きますと、この銘柄の買いエントリーはラインDの抜けを確認したタイミングです。
これはグランビルの法則のAポイントにも該当します。
(移動平均線が下降後、横ばいになるか上昇しつつある局面で、株価が移動平均線を上に突き抜ける。
株価が大底圏から反発し上昇トレンドに転じるタイミングが狙えるポイントです。)
その瞬間の観点として、
1.25日移動平均線を上抜けている(グランビルの法則の買いポイント)
2.75日移動平均線を上抜けている(グランビルの法則の買いポイント)
3.1と2の同時出現
4.2本の移動平均線が収束し発散期待が高い
5.戻り高値を起点とするレジスタンスレベルラインを上抜けている
6.株価が2か月間横ばいで推移し売り枯れている
加えて、一目均衡表にもポジティブなサインが出ています。
買いエントリーポイントであるラインDを上抜ける位置では、
7.雲の上限である先行スパン2を抜けている
8.転換線と基準線がゴールデンクロスしている
9.遅行線が株価の上に位置している
10.基準線が上を向いている
一目均衡表の三役が同時に好転することになり、非常に強いサインとなります。
このようにラインDを抜けてくると、移動平均線のチャートでも一目均衡表でも、全ての指標にポジティヴなサインが出現することになります。
以上の様に、この銘柄はラインをベース忠実に動きながら、他の様々なテクニカル理論にも非常に高い適合性があります。
最後に、ラインDを抜けて買いエントリーした後に、株価が下がることも十分想定されます。
その場合は、指標がネガティヴに転じたことが確認されたら、速やかに損切を実施します。
多くの指標が同時にポジティヴに転じるということは、裏を返せばそれがダマシとなったら同時に全てがネガティヴに転じる危険性があります。
過信しないで冷静に対処する必要があります。
<2018年8月30日、追記>
・JPモルガンがレーティングを引き下げたことにより押しましたが、1,292円のサポートレベルラインが機能し下げ止まっています。
次のサポートランである1,290円にも大きな支えがありますが、売り崩されることとなれば下げが加速すると思われます。
2018年9月2日
・8月30日にサポートラインで支えられた株価はやや反発して引けました。
冒頭のチャートのようにこの銘柄はラインに忠実に動くことを前提にするならば、現在は7月31日高値の1,455円をレンジの上限に、7月24日安値の1,920円を下限にした動きが成立する可能性が高まってきました。
今後、上限を株価が抜けてくれば買いポジション、下限を割り込んで来るならば空売りポジションとなります。
逆指値で構えておけば良いでしょう。
・8月上旬付近から信用売り残がやや増加しています。
現在の貸借倍率は0.63倍です。
上限を抜けてくると買戻しによる勢いも加速するものと思われます。
また、下限を割り込むと7月3日の1,178円安値が次のサポートレジスタンスラインとなりますので考慮が必要です。
但し、これをも割り込むと現在収束している25日移動平均線と75日移動平均線の発散が始まりグランビルの法則の売りパターンとなります。
その場合、ボリンジャーバンドの発散とも相まって下落の勢いは非常に大きいと予測されます。
(上抜けた場合は前述の通り勢いを伴った上昇となります)
・一つの戦略として、レンジの上限付近での空売り、下限付近での買いという逆張り戦略も考えられます。
レンジ内で動く場合は両方に含み益を抱えてのポジションになるので、レンジを離れて動き出した際に反対ポジションを決済しても損失は免れることになります。
<2018年9月3日、追記>
・サポートレベルライン付近まで安値を試す動きが続いています。
強いサポートが機能している反面、割れるとストップロスを伴い急落する危険性が高まっています。
ロスカット、および新規の売り建てを準備してリスクに対処する必要があります。
<2018年11月5日、追記>
7月31日高値をレジスタンスレベルラインとして上抜けた株価(1,455円)は、チャネルラインの流れに上手く乗りながら上昇を続けています。
75日移動平均線は上向き、25日移動平均線も上向きで拡散していく強いトレンドに乗っています。
200日移動平均線も昨日はサポートとして機能しています。
テクニカル的なエントリーポイントから既に25%の利が乗っていることになりますので、投機(トレード)目線では順調です。
今後、25日移動平均線が横ばいから下向きに転じ、75日移動平均線に対して収束してくると押しに向かいます。
押し目まで待ってから次の波に乗ります。
また、29日高値を上抜けて来たので、相場の勢いに左右されるものの踏み上げが期待できます。
逆張り、もしくは塩漬けにした売り玉は決済を余儀なくされるでしょう。
但し、チャネルラインの上値傾向線には注意が必要です。
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