Ⅴ-9.ダウ理論

Ⅴ-9.ダウ理論

市場の平均値は需給に影響するすべての要因を反映する。

終値が1日の動きを最終的に集約した価格であり、翌日以降の投資行動に最も大きな影響を与えると考え、終値による平均株価を指数化した。

平均株価の概念とともにトレンドでの概念である。
いったん始まったトレンドは反転が証明(転換が決定)されるまで継続するという考え方に基づく。

 

トレンドとトレンドの転換のシグナルについての基本法則

1. 平均株価は全ての事象を織り込む
株式の需給関係に影響を与える要因は、全て相場に織り込まれおり、終値の平均株価に表されている。
終値にはすべての投資家の投資行動が、全て反映されている。

 

2. トレンドのサイクル

プライマリー・サイクル(長期トレンド): 1年以上の周期を持ちその結果として20%以上の株価変動を伴う。
セカンダリー・サイクル(中期トレンド): 3週~数か月の周期を持ち長期トレンドの進行を遮る調整。
一般的に使われる「中期トレンド」とは意味が異なる。
マイナー・サイクル(小トレンド): 数日間程度の動きで中期トレンドの調整。

 

3. 長期トレンドの3局面

高値が高値を更新していく強気市場
① 第1局面: 先行投資家が買い始める時期で、買い集めの静かな段階。
② 第2局面: 企業収益に改善が見られ、追従型の投資家が買い始め、出来高も増加する段階。
③ 第3局面: 一般投資家が投資を行う段階。根拠の希薄な憶測材料で急伸し、エアポケット的な高値波乱などの動き。

安値を安値が更新していく弱気市場
④ 第1局面: 実態価値以上に株価が高騰し、先行投資家が売り抜ける期間。
⑤ 第2局面: 企業収益の悪化に伴って、売り方主導の展開。
⑥ 第3局面: 下降の最終局面で、企業の実体価値と無関係に売られる段階。

 

4. 平均株価は相互に確認されなければならない。
工業株平均と鉄道株平均の2つの平均株価を相互に確認し、2つが同一方向に動いている時にトレンドの精度が高いという考え方。

 

5. トレンドは出来高でも確認されなければならない。

ダウ理論は終値を重視するが、トレンドの発生確認として出来高の推移も重視する。
強気市場では、株価上昇時に出来高が増加し、上昇時には減少する。
弱気市場では、株価下落時に出来高が増加し、下落時には減少する。

 

6. ラインは訂正運動に変わることがある。
ラインとは株価の横ばい状態の持ち合いのことで、売り方と買い方の力が均衡している。
株価が±5%以内の幅の中で変動し、2~3週間、時には数か月続くことがある。この保ち合いの後、ラインの上下のいずれかに放れ、新しいトレンドとなるが、一般にラインの期間が長ければ長いほど、その後のトレンドの勢いは強くなる。

 

7. 終値重視
終値のみを使用する。終値は1日の動きを最終的に集約した株価であり、翌日以降の相場の投資行動に最も大きな影響を与えるからである。

 

8. トレンドは転換が決定的になるまで続くものと判断する。

トレンドは永遠に続くものではなく、いずれは転換を迎える。トレンド転換のシグナルが明確に表れるまで、今のトレンドを継続し続けることが重要である。
トレンドの見方をすぐに変えて早まった売買をするよりも、トレンドの転換を確認してから売買する方が、より多くの利益を得ることができる経験則がある。

現在のダウ平均株価には、「工業株30種」、「輸送株20種」、「公共株15種」の3種類と、「総合65種」がある。
ダウ平均株価に採用される銘柄は、その時代の業界を代表するために、時代と共に銘柄の入れ替えが行われる。

指数は株式分割や増資などによる変動を修正し、連続性を持たせるために、除数を用いて計算される。

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