Ⅴ-8-3.複数足分析
Ⅴ-8-3.複数足分析
1本の単線足からその勢力の強弱を読み、次に足の組み合わせによる複数足分析で相場の今後の動きのシグナルを判断する。
① 包み線(抱き線)
前日の小陰線を全部包み込んで引けた大陽線、またはその逆で前日の小陽線を全部包み込んで引けた大陰線。包み線、または抱き線という。
前日まで株価が下落基調の中で
下位にこの陰線を包み込む陽線が出現した場合は、
買い転換を強く暗示し、今後の株価上昇を示唆する。 →
前日まで株価が上昇基調にあり、
上位に陽線を包み込む陰線が出現した場合は、
売り転換を強く暗示し、今後の株価の下落を示唆する。 →
② はらみ線
前日の実体の中心部分に気迷い気味に値幅が小さい線が出た場合を、その形状から「はらみ線」という。
包み線とは逆の形で当日線は陰・陽を問わない。
また、当日足が寄り引け同時線となった場合は、
「はらみ寄せ線」といい、転換暗示を強く表す。
特に、株価水準の上位で大陽線の「はらみ寄せ線」が出現した場合、
または下位で大陰線の「はらみ寄せ線」となった場合は、
それぞれの相場の天・底になる傾向が強く、
中期的に見ても重要な分岐点になることが多い。
③ 切り込み線(切り返し線)
大陰線の出現の後、
売り人気の高まりの中で大きく下寄りしたものの、
予想に反して下げ渋り、 →
終値が前日の大陰線の実体の中心部分よりも
上まで切り返して引けた足を「切り込み線」という。
前日までの売り人気に逆らっての急上昇は、
潮流の変化を暗示する。
2本を1本にすると、タクリ線の下ヒゲ陰線となり、相場の下位で出現した場合は、買い転換を暗示する。
④ かぶせ線
前日足が陽線や大陽線で引け、
次の日にその勢いで高く寄り付いたものの、
伸びきれず、
前日の陽線の実体の中心以下まで下落して →
引けた陰線を「かぶせ線」という。
前日の陽線の実体部分にかぶさるように出現するので、
前日の陽線を打ち消して、相場の上位で出現した場合は、一転売りの急所である。
⑤ あて首線(あて線)、入り首線、差し込み線
大陰線が出た翌日の寄り付きが勢い余って下寄りしたものの、
下げ渋って小反発する。
しかし、前日の安値まで戻せずに引けた小陽線をいう。
陽線で引けたが反発力に欠けた形で戻り売り狙いとなる。
「入り首線」はあて首線の変形で、
やはり大陰線から下放れて寄り付き、
前日の安値より若干上に食い込んで引けた形をいい、
これも勢力が弱く戻り売りをよしとする。
入り首線の陽線が長いものが「差しこみ線」。
これは前日の大陰線から大きく下放れて寄り付き、
陰線の下方に食い込んで引けたものだが、
下放れが大きいので、陽線の実体は大きく反発力に限界があり、
やはり追撃売りの急所とされている。
⑥ たすき線
前日陽線のあと下寄りし、前日の安値以下の陰線で引けた足。
また、これとはまったく逆に、前日陰線のあと高寄りし、前日の高値以上の陽線で引けた足を「たすき線」という。
両線ともに、同じくらいの実体、ヒゲを持つ陰線、陽線がたすき掛けで現れた場合を称し、その値幅の大小は問わない。上下の揉み合いの中で現れたものは方向性を示さないが、数日間の連続的な動きの中で現れた場合は、軽い調整を終えたとして目先逆向かいをよしとする。
⑦ 星
前日の大陽線の右肩に上放れて実体の小さい陰線または陽線が出た場合、これを「星」と呼ぶ。
また、これとは逆で大陰線の足元に下放れて実体の小さい陰線か陽線が出た場合も同様で、双方とも勢い余って寄り付いたものの、続伸、続落にはつながらず気迷って引けた結果、反落開始や反転上昇につながる場合がある。
⑧ 並び赤と並び黒
実体がほぼ同じくらいの長さの2本の並んだ小陽線を「並び赤」、小陰線が並んだ場合を「並び黒」という。
上昇や下降の中間点に出たものは特に方向性を示さないが、上昇途中に前日の足から放れて出現した陽線を「上放れ並び赤」といい、買いの急所とされている。
逆に、下位で小陰線や小陰線が多く出て揉み合いが続いたり、上値を切り下げる流れの後に出たりする陽線を「下放れ並び赤」と呼び、陽線に逆らって追撃売りとする。
「下放れ並び黒」は、下放れたところに2つ並んだ陰線だが、下落途中に現れた場合、下落がさらに進むことを示唆するもので追撃売りが有効。ただし、一気に底打ち確認の後で反転に向かう過程と見るべきである。
上放れ並び赤
下放れ並び黒
下放れ並び赤
⑨ 出会い線
前日が陽線であれば、大きく上放れ、陰線であれば大きく下放れて寄り付いたものの、結局は前日の終値付近まで戻して引けた線を「出会い線」といい、転換暗示の強い線とされている。
⑩ 行き違い線
出会い線と逆で、前日が陰線であれば、前日終値から大きく上放れ、陽線であれば大きく下放れ、前日線の寄り付き付近から始まって背を向け合い異なる方向に行き過ぎて終えた線を「行き違い線」、またの名を「振り分け線」という。
上昇や下落基調の途中で出た場合には、一時的な振り落としによるもので、買い売りの好機とみる。
三本足・複数足
① 三空
最初の空が3日経っても埋まらない場合は、トレンドが非常に強いことを示し、少なくとも1~2か月間は同一方向に株価が走る傾向がある。
② 三山、毛抜き天井、団子天井
時間をかけて大天井を形成した後、反落に転ずるパターン。
③ 三川
④ 三兵
保ち合いの中から陽線あるいは陰線が三手連なり、下値を切り上げる(あるは切り下げる)となったもので、3本がほぼ平行した形での切り上げ(切り下げ)の足の形を三兵という。
その方向に向かった場合の強さを強調するもの。
実体が徐々に小さくなったものは、勢力の衰えを示すので三兵の類には属さない。
底値圏での赤三兵、天井圏での三羽烏。
⑤ 三法
「売り」、「買い」、「休む」
「上げ三法」と「下げ三法」
「上放れ三法」と「下放れ三法」
3つの逆行する足の後に一気に抜ける足のことで、反転後の追撃の急所となる。