日経平均株価の急落後の下値メド(2018年12月23日)
(後半に日々経過の追記あり)
急落の状況
日経平均株価の2018年12月22日引け後の日足チャートです。
・11月26日の安値20,971円を大底とするレンジ内の動きを続けていましたが、底割れによって急速にブレイクダウンしました。
日足のろうそく足は、実体ベースで4営業日連続で窓を空けながら下落し、その勢いはボリンジャーバンドが連日+3σに達しています。
・株価は、かろうじて安値は心理的サポートである20,000円をキープしています。
週末時点では心理的サポートである20,000円をキープしていますが、見方としては「今週に関しては20,000円を割らずに済んだ」だけとして捉えます。
これは「今週に関しては」という通過的な表現で、決して下げ止まりが保障されたわけではありません。
来週以降に20,000円を割り込む事態になれば、また次のサポートとなるポイントを模索することになります。
目先はどこかで一旦リバウンドするのですが、現在のところ、まだ反転の兆しは見受けられません。
◎ 移動平均線の動き
・今年の1月付近から株価が横ばいに推移したことで、チャート上の25日、75日、200日の3本の移動平均線はその期間により均されて水平になっていました。
(株価が対象となる日数以上の期間に渡り横ばいが続くと、移動平均線は水平になります)
3線は同じ価格帯で収束したまま、糸が撚れるように互いに上下に位置を交互しながら推移していました。
このように、複数の移動平均線が収束している状態は、株価の煮詰感が高まり、近く保合い放れとなることを示唆します。
(3線が収束することはあまりありませんが、2線の収束は頻繁に起こります)
・現在、200日移動平均線は僅かながら下向きです。
(移動平均線は200日の平均値分の値幅で動きますので、仮に1日に1,000円の下落に対してでも僅かに5円分しか変化しません)
・75日移動平均線は200日移動平均線のすぐ上に位置していますが、角度は下向きに200日よりも大きく、2営業日後(来週水曜日)には、200日移動平均線の価格に到達しデットクロスとなります。
・25日移動平均線は今週の急落で下向き角度が増し、反応の遅い75日、200日移動平均線に対して発散し始めています。
足の長さが異なる移動平均線は、期間の短い移動平均線から先に反応していきますので、今回の下落で25日移動平均線は収束状態から更に発散していくことになります。
◎ 一目均衡表
・三役は逆転中で、基準線は急角度で下を向きました。
◎ ボリンジャーバンド
・急落により一気にボラティリティが高まり、ろうそく足を乗せながら-2σは下向きに大きく発散し始めました。
安値は連日+3σまで到達しています。
+2σも上向きに発散していますが、今後、株価が下げ止まりそうになる兆候は、+2σが先に横ばいから下向きの収束方向にに変化することで確認できます。
(この時、-2σはまだ下向きのままです)
◎ライン系
・12月3日高値からの短期のトレンドラインが引けます。
目先、このトレンドラインに対するチャネルラインの下値傾向線が影響するかどうか注目です。
また、フラット・コレクションをブレイクダウンして安値を更新したことにより、
10月2日高値を起点として12月3日戻り高値を通過する、中期的なトレンドラインが出現しました。
今後、19,000円付近まで下落した場合、このトレンドラインを基準にした下値傾向線が大きく影響してきます。
今後の動きの予測
ここまでの現状を踏まえて今後想定される動きです。
・現在売られている要因として、
1. 2013年、および2016年からの上昇による利益確定の売り
2. 直近1年間の買いに対する損切り
3. 年末要因による節税対策売り
4. 12月決算銘柄の権利落ち回避売り(確定後は権利落ち)
5. 年末要因によるポジション整理
6. クリスマス休暇による外国人投資家の不在
ファンダメンタル要因も含めて様々な要因が挙げられます。
さらに上記2に関連して、今週の大幅な下落で信用買い方の損失が大きくなっています。
現物株に関しては塩漬けにして耐える選択もありますが、信用買い建て玉の多くには追証が発生していると想定されます。
週明け早々には、追証解消のための必然的な売りと強制決済により、もう一段の下げが続くことが予測されますので、一旦の底打ちとなるセリングクライマックスまでには、まだ日数を要すると思われます。
セリングクライマックスの後は、一時的に株価は戻す方向に動きますが、すぐに再度安値を試すように下落に転じます。
また、空売り決済の買い戻しと、リバウンドを狙った新規の買い、さらにはナンピン買いが交錯しますので、当面の株価は乱高下すると予測されます。
安易な売買には大きなリスクが伴いますから注意が必要です。
なお、貸借銘柄が少ない新興市場は、空売りの買戻しが入らないことから下落に歯止めが利き難くなります。
先物の3月26日安値をメド
まず確認しておくべきは、日経平均株価のチャートはもとより、全体相場の動向を左右する日経225先物(日中・夜間)の2つのチャートです。
日経225先物の動き、特にサポートやレジスタンスとなる重要なポイントでの動きは、日経平均株価の動きに大きく影響を与えます。
以下は、日経225先物の日中と夜間の日足チャートです。
<日中>
<夜間>
・例えば、金曜日の日経平均株価は安値20,006円で、かろじて20,000円という大台を割り込まない動きとなりましたが、日経225先物(日中)は20,000円を割り込んで、安値19,940円を付けてから切り返しています。
単に20,000円という価格が心理的サポートになっただけの可能性もありますが、先物は日経平均に先行した動きをする傾向があります。
今回の場合は、日経225先物が日経平均株価に対して僅かな時間差で先行し、先に20,000円の大台を割り込んだものの、行き過ぎ修正となりすぐに切り返す動きを見せたことで、遅れて反応していた日経平均株価は20,000円を割る必要が無くなり、割れる寸前で切り返しました。
この間の動きは、コンピュータ・システムに支配されています。
このような現象から、今後の下値メドとなるポイントでの挙動は、日経平均株価だけでなく日経225先物のチャートでも確認しておく必要があるということになります。
これは、チャート上の要所要所においては必須となる観点です。
・日経225先物は日中だけでなく夜間でも取引されています。
そして、個々にチャートが存在するので、日経平均株価と先物2つの計3つのチャートを確認していくことになります。
(実際には日経225先物はCMEでも取引されていますが、大証での取引時間が延長されたことで、その重要性が薄れたことから割愛します)
※ ちなみに日中と夜間は別のチャートに分かれています(合成チャートもありますが)が、日中の日々のろうそく足の間に生じるギャップ(空白価格)は、夜間の値動きとなります。
つまり、日中と夜間の互いのチャートを重ねると、ろうそく足はギャップは埋まり、連続して繋がります。
故に、夜間の終値は、翌日の日経平均株価の先読みとして非常に有効性が高いと言えます。
・さて、今回の様に株価が大きく下げた場合、一つのポイントとして、過去の特徴的な安値がサポートとして意識され、過去の安値と同値、もしくはその付近で下げ止まる傾向があります。
・3つのチャートから過去の安値(サポートポイント)を探すと、日経225先物(日中)のチャートに意識される可能性のある安値が見つかります。
2018年3月26日の19,725円です。
これが、週明けすぐに意識されるサポートレベルラインとなります。
つまり、日経225先物(日中)のチャートには、金曜日の安値19,940円から、まだ215円の下げ余地が残っているということになります。
(残念ながら日経平均株価、日経225夜間は既に割り込んでいます)
もし、週明けに日経225先物(日中)が19,940円で下げ止まれば、一時的ではあるもののサポート機能として意識されたことになります。
逆にサポートとして機能しなければ、下落はまだ続き、次のポイントまで突き進みます。
これが週明けすぐに確認すべき大きなポイントです。
なお、サポートレベルラインは3つのチャート上で個々にラインを引いて確認します。
3チャートの価格自体に相関はないので、混在させて比較するのではありません。
チャネルラインの下値傾向線を安値メド
さて、サポートレベルライン付近にはもう一つサポートとなりそうな基準があります。
下記は日経平均株価のチャートです。(再掲)
今回の下落で、12月3日高値を起点とした短期的なトレンドラインが引けます。
この下値傾向線が安値をサポートする可能性です。
ただ、このラインは急角度で下げていますので、下値傾向線に沿って安値が動けば、このまま下落は継続しますので、サポートとして株価を下げ止める役割は薄く、むしろ下値傾向線に沿って安値を牽引する感じになりそうです。
・では、上記の日経225先物(日中)のサポートレベルラインもあっさりと割り込んだとしたら、次の安値メドはどこになるでしょうか?
これを解消するのが、もう一つのポイントとなる中期的なチャネルラインです。
以下は、日経225先物(日中)日足チャートです。(再掲)
今回、フラットの安値を割り込んできたことで、新たに中期的なトレンドラインが出現しました。
10月2日高値を起点として、12月3日戻り高値を通過する中期のトレンドラインが、チャネルラインの上値傾向線になり、今後の安値の価格メドを予測するのに活用できます。
まず、現在のトレンドラインを上値傾向線として、同じ角度のラインをチャートの10月26日安値に合わせて置きます。
これが下値傾向線です。
今後このラインに株価が到達する価格が安値のメドになります。
上記チャートでは右下部分が表示されていませんが、下値傾向線を延長して来週付近に到達するであろう価格は、おおよそ19,000円付近になります。
(イメージとしては長い下ヒゲがラインにタッチして切り返す動き)
つまり、チャート的には19,000円付近まで下げる余地がまだあるということになります。
・チャネルラインは、株価がトレンドを伴い上昇下降を続けた場合に、強力なレジスタンスやサポートとして機能します。
必ずチャート上にラインを引いて確認することが重要です。
特に日経225先物や日経平均株価においては、その傾向が個別銘柄よりも顕著に出現しまし、過去にも頻繁に確認されている現象です。
チャネルラインは、テクニカル分析においては見過ごせない観点で、むしろチャネルラインに合わせて株価は動いている(動かされている)と言っても過言ではありません。
・さて、日経225先物(日中)は、まだ3月26日のサポートレベルラインを割り込んでいません。
加えて、短期トレンドラインの下値傾向線が、来週にはサポートレベルラインと同じ価格に重なってきますので、ダブルのサポートとして機能する可能性がありますから、日経225先物(日中)の値動きには注目です。
日経の3つのチャートの使い分け
ここまでに、日経平均に関して3つのチャートが登場しました。
・ 日経平均株価
・ 日経225先物(日中)
・ 日経225先物(夜間)
・基本的には日経平均株価がメインとなりますが、先物は日経平均を主導する動きをする特性から、指標的に使うことが出来ます。
ザラ場においても、先物が動き出すと各個別銘柄も同じ方向に引っ張られ、その平均値である日経平均株価も動きます。
先物がとあるポイントで天井や底、反転する動きとなれば、瞬間に日経平均株価もその動きに従い反応します。
ですから、後続する日経平均株価はそのポイントに未達となることもよく見受けられます。
・逆に、先物がポイントで反応しなくても、日経平均株価がポイントで反応した場合、先物はスローオーバーする反応をすることもあります。
つまり、3つのチャートは、その時々で先にポイントに到達したチャートが影響を及ぼすか、あるいはその次や最後にポイントで反応して影響するか、常に要所においては注目しておく必要があると言うことになります。
今回の下落においては、レジスタンスレベルラインの3月26日安値を、既に日経平均株価と先物(夜間)は割り込んでいますが、まだ未達の先物(日中)がもし反応すれば、全体はそれに従い下げ止まる動きとなる可能性が高いです。
これは、必ずそうなると言うものではなく、人間は心理的にサポートやレジスタンスを求める際には、何か基準を使いたいものだと言うことに通じます。
そして、トレードシステムで動くプログラムの仕様は人間が決めるのですから、そこには同じ理屈が存在します。
(システムは、ただ無情に正確に早く動くだけです)
月曜日のNYダウの動きがポイントに
・12月22日の日経225先物(夜間)の引け値は19,785円です。
通常は翌朝の日経225先物(日中)は、この価格を引き継いで同じ価格付近から始まり、日経平均株価はそれに順じますが、日本のマーケットは振替休日のために月曜日の取引は日中も夜間もありません。
しかし、NYダウは通常通り取引されますので、週明けの日経は先物よりも、月曜日のNYダウの影響を大きく受けることになります。
大まかに言うと、NYダウが更に下げる事態になれば、日経平均株価も下げで始まりますし、逆に上げれば反発する動きとなります。
月曜日のNYダウの動向が、週明けの相場のムードを大きく左右しますので注目です。
但し、それは単に日経平均株価の始値が高いか安いかということだけで、そこから上がるか下がるかを示唆するののではありません。
(高いからと飛びつくと、寄付き天井となり高値を掴まされることも良くあります)
来週の動きは慎重に見ていく必要があります。
ここを上手く使えると、日経225先物、個別銘柄の短期トレードには非常に効果的です。
<2018年12月25日、追記>
日経平均株価のザラ場と引けの日足チャートです。
24日(月曜日)のNYダウが大幅に下げた影響を受けて、日経平均株価は寄付きから大きく下げて始まりました。
ザラ場(右のチャート)で安値が下値傾向線にタッチして、一旦は切り返す動きを見せたものの、最終的には下値傾向線を割り込んで引けました。
急激な下げで日柄を待たずにラインに到達したことで、売り買いにコンセンサスが得られず崩された感があります。
このザラ場で一時的ではありますが下値傾向線が意識され、非常に綺麗に安値にタッチして跳ね返えされたことで、チャネルラインの見方はこの局面で有効であると言えます。
以下は日経225先物(日中)の日足チャートです。
3月の安値、下値傾向線の2つの想定したサポートポイントを一気に割り込んだことにより、テクニカル的な下値メドを見失うこととなってしまいました。
結果的に、心理的サポートとなる19,000円にタッチして引けたのですが、今後下を試す場合、クォーターである250円刻みの価格が心理的なサポートとなっていきます。
今夜のNYはクリスマスで休場なので、日経225先物(夜間)の値動きと引け値に注目です。
<2018年12月26日、追記>
日経平均株価は切り返す動きを見せたものの、伸びきらずにザラ場で前日安値を割り込みました。
12月26日引け後の日経平均株価の日足チャートです。
ザラ場で19,000円を割り込みましたが、急速に戻しています。
昨夜はNYが休場だったため、25日月曜日の大幅な急落後の方向性が掴めず、反発を狙った買いも疑心暗鬼で続かなかったと想定されます。
今夜のNYダウの動きが明日以降の方向性を大きく左右しそうな局面となりました。
<2018年12月27日、追記>
NYダウの反発により日経平均株価は大きく反発しました。
昨日26日の安値が何故18,948円であったのかについての仮説です。
11月8日高値をレジスタンスレベルラインとしてフラットに推移していた株価は、日経225先物の日中・夜間ともに、12月3日に窓を空けて一瞬飛び出し直後に下落しました。
(ファンダメンタル的には、相場上昇を阻んでいた米中貿易摩擦に解消の兆しが見えたことが要因です)
この、言わばこの乖離的なろうそく足を除外してインターナル・トレンドラインを引き、その下値傾向線を10月26日安値に合わせると、昨日の安値と重なります。
もしかしたら、このインターナル・トレンドラインがシステム上で識別されていた正規のトレンドラインであった可能性もあります。
今後、リバウンドを経て再度安値を試す動きとなった場合、トレンドラインとインターナル・トレンドラインも下値メドとして意識しておく必要性が出てきました。
上記25日追記の添付チャートの様に、ザラ場でトレンドラインの下値傾向線が意識される動きとなったことから、分析基準が割れているのではないかと思われます。
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