Ⅴ-7-2.サイクルの基本
Ⅴ-7-2.サイクルの基本
1.サイクルの定義と一般原則
株価の波動は、三角関数の正弦(サイン)関数、あるいは余弦(コサイン)関数の波形に近いため、サインカーブを使って説明される。実際の株価と波動の関係では、山と谷は左右対称ではなく、どちらかに変形している。
サイクルの4原則
① 合成性の原則: すべての価格パターンは、2つまたはそれ以上の異なるサイクルの動きを合成した結果である。サイクルを将来的に引き延ばして合成することで、将来の価格パターンを予測できる。
② 調和性の原則: 隣り合うサイクルは通常、整数倍の関係にある。
その整数は通常2である。例えば、20日間の周期のサイクルの場合、次のサイクルは10日となり、次の長いサイクルは40日となる。
③ 同時性の原則: 異なる波長のサイクルが同時に谷をつける傾向、または異なる市場で同じ波長のサイクルの動きが一致する傾向がある。
④ 比例性の原則: 周期の長いサイクルは振幅も大きい。例えば40日周期を持つサイクルの振幅は、20日間の振幅の約2倍となる。
サイクルの2つの一般的原則
⑤ 多様性の原則: 現実にはいろいろな多様性がある。
⑥ 名目性の原則: 各市場の差や多様性とは別に、全ての市場に有効な名目的かつ相互に調和のとれた一連のサイクルが存在する。
2.サイクルトランスレーション
サイクルの始まりは谷→山→谷という一連の流れとなるが、実際の相場の波動では周期や振幅が不規則で、山や谷の位置も左右どちらかに偏っている。この状態をトランスレーションと呼ぶ。
山がどちらの谷側に寄っているか、またどちらの谷の方が高いかによって、相場の強弱を判断するものである。
サイクルの山が左側に位置する場合を「レフトハンド・トランスレーション(左変形)」、右側に位置する場合を「ライトハンド・トランスレーション(右変形)」という。
強気相場: 山が右、谷は始点より高い
弱気相場: 山が左、谷は始点より低い
山が右側になる場合は、株は下落するよりも上昇する時間が長く強気と判断され、逆に左側になる場合には弱気と判断される。
3.サイクルウィンドウ
サイクルウィンドウとは、現実の相場では理想的なサイクルの転換点よりも早く、または遅く天井および底を示すという事実を許容する手法である。転換点の到来時期を決めるのに、ピンポイントではなく周期近辺で時間の幅を持たせることである。
売買の意思決定をするのに使える情報として、幅をもたせた転換点の予測を用いる。
① ウィンドウは理想的サイクル転換点を中心として、両側に均等にサイクル周期の約14%~約20%である。
② サイクル予測にトランスレーションの調整を加えて、いわゆる理想的転換点ではなく、調整後の予測した転換点を中心とするウィンドウを計算する。