Ⅴ-1-4.ファンライン
Ⅴ-1-4.ファンライン
1. ファンラインとは
ファンライン: トレンドラインが消滅するごとに新たなトレンドラインを複数描き重ねていくとラインが放射状に広がる。
株価がそのラインをブレイクしても、それは必ずしもトレンドの大きな転換点を捉えられるものではない。むしろ、株価の反転が短期間で終わる場合が多々ある。
しかし、複数のトレンドラインを描くうち、やがて大きなトレンドの転換点を捉える真のトレンドラインに遭遇する。
それは最初のトレンドラインから数えて3本目に訪れるケースが多く、3~4本目のラインが真のトレンドラインになる可能性が高くなる。
ファンラインはトレンドラインのみでトレンドの大きな転換点をつかもうとする努力の足跡である。
2. ファンラインの最終トレンドラインについて
なぜ3~4本目のファンラインが信頼性の高まるトレンドラインになるのか?
① 相場には3段上げ、3段下げという波動がある。1段下げ、2段下げ、3段下げで下落が終了し底値形成に入る相場の波動の考え方。
相場の性質から見れば逆金融相場、逆業績相場、悲観相場の3段階のサイクル論がある
大天井からの下げは1段下げや2段下げで終わらないという経験則と、下降トレンドラインの1本目や2本目だけで相場の大転換が捉えにくいということが、同じであることを示唆するものである。
② エリオット波動とファンラインの整合性
第5波の構成のうち衝撃波は1波、3波、5波であり、それぞれの修正波は2波、4波である。
従って下降トレンドにおいて意味ある高値を起点とする下降トレンドラインは、2波や4波の意味ある高値を結ぶ線になりやすい。
エリオット波動と合わせて考える場合には、最終波5を形成したとみられる直後に意味ある高値を結んだトレンドラインを株価がブレイクするなら、反転の確率がより高くなる、と判断する。
逆にファンラインがエリオットの最終波5を確定させる役割を担っているとも言える。
3. 下降トレンドに有効なファンライン
ファンラインは下降トレンドでその有効性を発揮できるものの、上昇トレンドでは一部で使いにくいケースが出現する。
上昇相場の性質は金融相場、業績相場、人気相場の3段上げとなるが、最後の人気相場は「買うから上がる、上がるから買う」というバブル相場、いわゆる過剰流動性相場となり、それまでの上昇軌道と異なって噴き上げるような急角度の上昇を示すためだ。
しかし、急騰を続けた人気相場のバブルがはじけ暴落に転じた後、数少ない下値目安となってよみがえる。
上昇トレンドと違って下降トレンドは1次関数の直線にマッチしやすい。株価のバリュー面から見て下がるほどに限界的な抵抗が強まるからであり、加えて会社の倒産という不測の事態を除いて、株価の下げは時間との相関関係が高くなってくるためだ。